ラブライブ!劇伴レビュー 「Notes of School idol days ~curtain call~」 後編
皆さんご無沙汰しております。前回の更新からだいぶ日が経ってしまいました。
今回は劇場版『ラブライブ!The School Idol Movie』のサウンドトラック「Notes of School Idol Days 〜Curtain Call〜」のレビュー後半となります。
長かったアニメ『ラブライブ!』の劇伴も残すところあとわずか、青春を駆け抜けていったμ’sの様に私も思い出を振り返ることでそれに近づけたような気がしています。
ちなみに「Curtain Call」はミュージカルなどの最後に演者たちが出てきて感謝や感想を述べることを言います。大団円とも言いますね。
それではレビューしていきましょう。
1.「にこにこぬぅぃ~☆(M15A)」
使用シーン:にこの妄想シーン
ビーチでファンに声をかけられ「やれやれまたか…」と言わんばかりに「にっこにっこにー」を披露するにこの場面で流れたジングル。
このねっとりとしたメロディラインがにこの考える「華麗」や「優雅」のイメージだったりするんでしょうかね…?
2.「無理なものは無理!(M15B)」
使用シーン:穂乃果からヒデコ・フミコ・ミカの3人から逃げるシーン
第1期サントラに収録されているLM34のショートアレンジバージョン。
短いながらもバックミュージックが変更されていたりエレキギターのリードが顕著に出ているなど豪華にアレンジされています。
3.「みんなでライブをもう一度(M16)」
使用シーン:μ’sが部室で会話しているシーン
「最後を伝えるライブをする」という意思を固めた事による悲壮感漂うシーン。それを引き立てるピアノや木管楽器のメロディラインが特徴的です。
また、この曲にはにはLM03やLM01のアレンジ部分が盛り込まれており、今までも他の劇伴で色々なアレンジを施されていたこのメロディラインは我々を感動へと誘うと同時に、これまでの思い出を蘇らせようとしてきます。
4.「穂乃果の葛藤(M17)」
使用シーン:穂乃果が自室で過ごしているシーン
「μ’sを続けてほしい」「μ’sは終わりにする」という押しつぶされてしまいそうな選択に悩む穂乃果の想いが痛いほどに伝わってくる。この曲を聞いてるとそんな風に感じてしまいます。
揺れ動くようなピアノの旋律はそんな心境をイメージしているのかもしれません。
5.「それぞれの想い(M18)」
使用シーン:μ’sのひと時が流れるシーン
劇中ではこの曲は後半に入るまでキャラクターが話しているシーンがありません。故に劇伴の中でも印象に残っている人は多いのではないのでしょうか?
この時のμ’sはそれぞれがみな前述の穂乃果の様に「μ’sを続けてほしい」「μ’sは終わりにする」という選択を強いられています。
前半は穂乃果のみ、その後にμ’sメンバーそれぞれのシーンが流れる。それと同時に楽曲もピアノソロから弦楽器が増えたりなど工夫が施されています。
前述の通り、会話が多く存在しないシーンである為にこの曲は「聞かせる」演出がされたいたのかな?とも感じましたね
6.「決断(M19)」
使用シーン:穂乃果が花畑の池を飛び越えるシーン
Disc1に収録されているM01のアレンジ曲その1。
この曲は映像と音楽との相乗効果のパワーが凄まじく、前半のピアノは幼少期の頃を思い出す穂乃果の心境、そして中盤のスラーと共に走り出す穂乃果、それに呼応したかのように鳴り響いてくるオーケストラ調の音楽に合わせて流れてくる絵里のメッセージ。
そして映像のブラックアウトと共に曲は終わり、タイトルの通り「決断」した穂乃果は……
7.「伝説が生まれた瞬間(M20)」
使用シーン:穂乃果が起きてから「最高のライブ」について話すシーン
「伝説が生まれた瞬間」……なんと勇ましいタイトルでしょうか。もはやμ’sには迷いや曇などは何一つ存在しない、という姿勢が伝わってきます。
前半はもはやアレンジではおなじみLM03のメロディが流れ、穂乃果が自分たちが今まで何のために歌ってきたか、何で歌ってきたかを回想しながら仲間の待ついつもの屋上へと向かっていきます。
そして全員が同じ答えであることに確信した穂乃果はスクールアイドルの素晴らしさを伝える為にある事を提案します。その時こそがまさに「伝説が生まれた瞬間」。TVシリーズを見てきた人にはお馴染みのLM15のアレンジが流れます。
ずっと聞いてきたあのメロディの力強さは言葉では言い表せないようなパワーを秘めており、今まで誰も挑戦したことが無い様な事に挑もうとするμ’s達。そんな彼女達の力強さというものが我々にもひしひしと伝わってきますね。
8.「最高のライブへ!東奔西走!!(M21)」
使用シーン:「最高のライブ」の為にμ’sが各地を奔走するシーン
「楽しい気持ち」を持ったまま各地へ向かうμ’sたちの様子が藤澤氏の得意とするアコースティックギターのメロディに乗って我々にも楽しげに聞こえてきます。
個人的にこの曲はLM10→LM18→LM02 typeBから続くアコースティックギターメロディの完成形の様にも感じます。
このシーンではμ’sの他にもA-RISEやヒデコ・フミコ・ミカの3人などお馴染みのキャラも「最高のライブ」の為に活躍するシーンが描かれており、転調したり緩急がついたりなどで各々の場面で上手く使われるという一風変わった作られ方がしています。
9.「準備開始!(M22)」
使用シーン:「最高のライブ」の準備シーン
ライブの準備もいよいよ大詰め。ビルは彩られ、人は高揚感に包まれ、街は楽しさに満ち溢れています。
そんな期待を膨らませるスネアや管楽器が特徴的に聞こえてきます。
10.「ライブ当日の朝(M23)」
使用シーン:穂乃果達がライブ会場への秋葉原へと向かうシーン
ライブ前の曲、皆さんはどれを思い浮かべますか?
ファーストライブのLM22、オープンキャンパスのLM44、ラブライブ決勝のLM70と様々なライブ前の曲があり、それはどれも不安感を助長されるものだったり目の前の事を楽しもうと言う意気込みが感じられたりなどどれも秀逸な劇伴ばかりでした。
この曲でもそれは変わらず、そしてこの曲は「もう全てやることはやった、あとは歌うだけだ」という一種の達成感すら流れて聞こえてくる気がします。
穂乃果が劇中で唯一失敗したオープンキャンパスの雨の日の時と打って変わって雲一つない晴れ渡る青空だったのもこの曲の健やかさを物語っています。
そして段々と楽器が増えていくのは本編においてどんどんとメンバーが集まっていく様子と相乗効果が取られており、最後の最後までこの特徴を活かしてくれるのはもはや感謝なんて言葉では足りないようにすら感じます。
完全に余談ですが「μ's Final LoveLive!〜μ'sic Forever♪♪♪♪♪♪♪♪♪〜」の朝、私はずっとこの曲を聞きながら出かける準備をしていました。
11.「ステージへと続く道(M24)」
使用シーン:穂乃果が花を拾いライブ会場へと走っていくシーン
Disc1に収録されているM01のアレンジ曲その2。
このバージョンではメインのメロディが最後までピアノソロで流れます、そしてスクリーンに映るのも穂乃果ただ1人。
儚げなメロディと裏腹な、心の底から「飛べる」という気持ちを理解した穂乃果のその笑顔は思い出すだけで涙が溢れそうになります。
そしてファンファーレと共に目の前に映ったのは「最高のライブ」を実現するために集結した大勢のスクールアイドルの姿。
自分達と同じ気持ちを持った仲間がここにいる、そんな喜びを噛み締めた穂乃果は声を高らかに叫びます。
「伝えよう、スクールアイドルの…素晴らしさを!!」
12.「Days Have Passed By(M25)」
ファイナルライブ、Wアンコール前ムービーBGM
「過ごした日々」…もはや語ることが必要なのかと疑問に思うほどです。
この「Notes of School idol days」で数え切れないほどの曲を演奏してきたピアノという楽器で流れていくメロディは雪穂と亜里沙の語りと合わせ、我々がμ’sと過ごしてきた日々を思い出させ、そして彩ってくれているような気がします。
この曲は「μ's Final LoveLive!〜μ'sic Forever♪♪♪♪♪♪♪♪♪〜」でも使用されており、曲に合わせて流れてくるμ’sの今までのライブ映像…反則と言っていいほどの演出だったんじゃないかと今でも思います。
そして最後、アニメもファイナルライブもここは全く同じ。アウトロの後にメンバーの点呼が始まり花びらの中に包まれていたのは……
以上、劇場版サントラ「Notes of School idol days ~curtain call~」後半の劇伴レビューでした。
劇伴レビューを始まる前はすぐ終わっちゃいそうだな~~~と思っていたのにいざやろうとすると1曲1曲の大切さというのが改めて感じられ、そこに捨て曲なんていうものは存在しませんでした。
これで「ラブライブ!」における劇伴レビューは終わりとなります。
もともと私がこのサントラレビューを始めたのも、μ’sの楽曲を語り絶賛する人は多いものの劇伴を挙げる人ってあんまりいないな?と感じた事がきっかけでした。
無論劇伴だって好きだよ!っていう人だっているのは間違いないのですが、どうしても歌詞の載ってないいわゆるBGM的な扱いをされてしまうのです。
だから私のこの記事をちょっと見た人が「あ、そういやサントラでこんな曲あったな~久しぶりに聞いてみるか」なんていうきっかけにでもなれたらと思いまして書いてみました。実際そんな風に思ってもらえたのなら本望です。
それでは皆さん、ご覧いただきありがとうございました。またどこかでお会いしましょう。
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